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「字通」を読む!その一

去年10月に亡くなられた漢文学者の大家である白川静先生の集大成「字通」(1996年)という漢字字典があります。

多くの漢和辞典は「説文解字」という中国の最古の部首別漢字字典をもとに、漢字の成り立ちを説明しています。

漢字は甲骨文字から発生し、その成り立ちは甲骨文字から考えるべきですが、「説文解字」は当時甲骨文字の存在が知られていなかったこともあり、陰陽五行説から部首分けし、当時の俗説からも引用しているため、「説文」にある漢字の成り立ちは正確ではないことが考えられます。

それを主張し、甲骨文字など古代字から漢字の成り立ちを調べ上げ、まとめ上げた人が白川静先生です。

漢字の成り立ちはもっと宗教的・呪術的な要素を多く含むと主張されましたが、実証が難しいということもあり、歴史学の主流からは批判を浴びていました。

漢字は一人の人が作ったわけではないので、成り立ちも多面的に見る方が正しいのかもしれません。
「説文」にまとめられているものに正しいものがあれば間違っているものもある。白川先生の説にも正しいのがあれば間違っているのもあるかもしれない。

あくまでもなんだと思います。

それでも漢字の成り立ちとしては結構興味深くておもしろいものがあるので、白川先生の「字通」はオススメです。

一つ比較をしてみましょう。

「告」という漢字では、「説文」にならう多くの漢和辞典では、牛と口の会意文字で、牛のつのかせの象形としています。

「字通」ではそれを俗説だとしています。
卜文・金文の字形は牛とは関係がなく、小枝をたてた形。口の部分は、口ではなく祝禱を収める器の象形。
それが「神に祈りを告げる」意となったとしています。

漢字の覚えやすさとしては前者ですが、字義的には後者の方が正しいと感じませんか?

字通はそういうのが満載で勉強になっておもしろい字典です。
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